竹冠に呂【筥】読み方は“キョ・コ・はこ”。意味は箱だが特別な箱。
はじめて“筥”の字を見たとき、「何と読むんだろう?」と思いますよね。
そして“竹冠に呂”と検索したりしますよね。
さらに検索しようと思ったきっかけは、福岡にある筥松(はこまつ)ではありませんか?
もしくは筥崎宮(はこざきぐう)ではありませんか?
だとしたら、「神社がある土地は“箱”崎なのに、何で“筥”崎宮?」と思ったりもしますよね。
ということで今回は、“筥”の読み方と意味、さらに筥崎宮はどうして“箱”崎宮でなく“筥”崎宮なのかということもお話します。
“筥”の読み方
音読み
“キョ”または“コ”です。
“筥”を“コ”と読ませる熟語は、“華筥(けこ)”くらいしか知りません。
法要のときに花びらを撒かれることがありますが、撒く前の花を入れておく仏具が“華筥”です。
“キョ”と読ませる熟語はひとつも知りませんでしたので、
調べてみたのですが、見つかりませんでした。
訓読み
“はこ”です。
おそらくあなたが知りたかった読み方はこちらでしょう。
さて、つぎは意味です。
“筥”の意味
“筥”は“箱”と同じ「入れ物」を指します。
ただし“筥”には特別な意味があります。
“筥”は、スギやヒノキの皮を曲げて円筒状にして、底を付けた入れ物です。
「曲げ物」とも呼ばれます。
曲げ物は、昔の人の普段の生活の中だけでなく、神事に置いて特別な使われ方をしています。
それが、筥崎宮が“筥”崎宮であり、地名の箱崎が“箱”崎であることにつながってきます。
筥崎宮は“筥”崎宮、地名の箱崎は“箱”崎な理由
調べてもはっきりしませんでしたので、筥崎宮の社務所に問い合わせてみました。
要約すると、
応神天皇がお産まれになった際、へその緒と胎盤を“筥”に入れて埋めて祀った。
埋めた上には目印として松を植え、その松があるのが、現在の筥松地区。
“筥”の目印の“松”があるから、“筥松”。
そうです。
筥崎宮のすぐ近くです。
筥崎宮は応神天皇を主祭神としていますから、筥松の近くにあり、“筥”崎宮を名乗っています。
一方箱崎は、糟屋郡箱崎町として誕生しました。
このとき“箱崎”は、“筥”が埋められた松のある場所に近い“崎”であることから、“箱崎”と名付けられました。
“筥”は、応神天皇のへその緒や胎盤が入れられている、おそれ多いものでした。
箱崎は“筥”に直接関連があるわけではないので、“筥”のかわりに“箱”の字を使ったということです。
要約としてはちょっと長くなってしまいましたが、そういうことです。
まとめ
“筥”の読み方は、
音読みなら“キョ・コ”
訓読みなら“はこ”です。
意味は“箱”とほとんど同じですが、特定の性状・形質をもつ、“曲げ物”を指します。
筥崎宮が“筥”崎宮であるのは、箱崎にあり、応神天皇を祀っているから。
神聖な場所ですので、“筥”を使っても差し支えない。
箱崎は“筥”が埋まっているところに近い“崎”ですが、直接関連があるわけではないので、
おそれ多い“筥”の字は使わず、“箱”崎となったというお話です。