母乳育児は最短ならいつまで?早くやめたらどうなる?
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スムーズにやめるためには計画が重要!
赤ちゃんに母乳を与えるのは、お母さんにとっては至福の時間です。
しかし離乳食をしっかりバランスよく食べてくれていれば、栄養面から見ると、離乳食後期~完了期になれば母乳は必要なくなってくるでしょう。
離乳食を食べるようになった赤ちゃんは、急に母乳を飲む量が減ったり、授乳間隔が長くあいたりするようになる場合があります。
そうなると、乳腺炎などの予期せぬトラブルに見舞われる可能性が大きくなります。
授乳間隔が急に長くあいてしまわないように、計画性を持って徐々に授乳回数を減らして行きましょう。
それが、スムーズにやめるためにはとても重要です。
離乳食を始めたら、授乳のやめどきについても考えよう
赤ちゃんが生後5~6ヶ月頃から離乳食を開始するのが一般的なタイミングです。
はじめたばかりの離乳食作り、おかゆに野菜、タンパク質、あれもこれも食べさせて、アレルギーがないかしっかり観察…
「気づいたら一日中離乳食作りに追われてた」
なんていう時期です。
そして実は、同時に断乳するか卒乳するかを考えはじめるべきタイミングでもあります。
離乳食をはじめて間もない時期に授乳をやめてしまうと、赤ちゃんは栄養不足になってしまいます。
逆に離乳食が完了しても授乳を続けていると、ずるずるとやめるタイミングを逃してしまい、気が付いたら3歳、4歳になっていた、というパターンも。
それはそれでOKです。
世界的に見れば4歳まで続けることには何の問題もありません。
ただ日本では女性も早めの社会復帰を求められますので、その観点からは断乳も早いほうがいいでしょう。
そのため、断乳を考えているママも、卒乳までがんばろうと思っているママも、離乳食を進めると同時に、授乳をやめるそのときのことを考えて準備をしていく必要があるのです。
母乳をやめてもいいタイミングの目安
「いつやめていいのか」
という目安をまとめると、
- 赤ちゃんが一人歩きができるようになっている
- 離乳食(もしくは幼児食)を3食規則正しく食べられている
- 母乳以外の水分をコップやストローを使って補給することができる
- ママ、赤ちゃんの両方が健康で、風邪をひいたりしていない
- ママのおっぱいトラブルがない
という全ての条件を満たしているときです。
時期によっては注意したいこともありますから、それはあとでお話しますね。
「実際にみんながどれくらいでやめているか」
が気になったら、独自の調査結果を公表していますのでそちらをご覧ください。
→育児経験者150人に聞いた!「母乳とミルクはいつからいつまで?」
仕事の関係で検討なさっている方は、復職にあたって考えておいたほうがいいことがいくつかあります。
つぎの記事が助けになるでしょう。
→母乳育児はいつまで?復職のときの選択肢と、それぞれのポイント!
母乳育児をスムーズにやめるために~「卒乳」と「断乳」~
母乳育児をやめる方法はふたつあります。
「卒乳」と「断乳」です。
「卒乳」は赤ちゃんが自然と飲まなくなるまで母乳をあげ続ける方法。
「断乳」は、授乳をやめる時期をママが決める方法です。
やめる時期はそれぞれの親子によって違います。
「卒乳」と「断乳」のどちらを選ぶかもママ次第です。
ママの就労状況や体調、赤ちゃんの離乳食の進み具合を見ながら、親子のスタイルに合ったベストな方法を選択していきましょう。
断乳の場合の進め方
卒乳を目指そうと決めている場合は母乳が出続けるように努力する必要がありますが、
「私はとても卒乳までがんばるのは無理だな。断乳しよう」
という場合は、徐々に回数を減らしたあと断乳の日を迎えることになります。
まずは3日間の日程を決める
離乳食を3回食べられるようになり、水分を母乳以外から摂取できるようになったら、3日間の断乳計画を立てましょう。
断乳は突然はじめるのではなく、事前に日程を決めることが大切です。
まずは、ママと赤ちゃんの心や体にゆとりの取れる3日間を断乳の日と決めます。
家族の協力が得られやすい3連休などが良いでしょう。
日程を決めたら、カレンダーなどに印をつけて、赤ちゃんに少しずつ
「この日でおっぱいとバイバイだよ」
などと言葉をかけてあげてください。
まだおしゃべりができない赤ちゃんでも大人の話すことを理解しています。
根気強く毎日声をかけましょう。
最初の3日間が勝負
断乳を決行すると決めたら、1日目の朝に赤ちゃんが自分からおっぱいを離すまで十分に時間を取って授乳します。
満足いくまで飲ませたら、
「これでおっぱいおしまいね。バイバイね」
と話してあげましょう。
そして日中はパパやほかの家族に協力してもらい、できれば屋外で体をたくさん使って遊ばせます。
疲れたり眠くなったりするとおっぱいをほしがってぐずるかもしれません。
が、そこであげてしまったら断乳失敗…
となってしまいます。
ぐっとガマンして、ほかの家族に寝かしつけてもらったり、おんぶやトントンで寝かしつけたりと、おっぱいになるべく意識がいかないような方法でしのぎましょう。
2日目、3日目と泣かれると、かわいそうになって、
「やっぱりおっぱいあげちゃおうかしら…」
なんて弱気になるときもあるかもしれません。
そこで誘惑に負けて授乳を再開してしまうと、つぎに断乳するときにもう一度つらい思いをさせなければならない事態になります。
ここがガマンのしどころです。
もうひとがんばり、がんばりましょう。
4日目以降からぐっと楽に
3日目くらいまでは、毎日泣かれるし、ママのおっぱいも張って痛いしでめげそうになるかもしれませんが、4日目以降は泣かれる回数も減り、ぐんと楽になります。
おっぱいがガチガチになってしまっている場合は、両手でおっぱい全体をゆっくり圧迫する「おにぎり搾り」で圧抜きをしましょう。
4日目以降もまだ欲しがる場合でも、1週間を過ぎれば、何事もなかったかのようにおっぱいへの執着もすっかりなくなっていることでしょう。
卒乳を目指す場合は
WHOのガイドラインでは2歳を過ぎるまで母乳をあげるようにと書いているほどなので、自然卒乳を目指している場合は赤ちゃんのペースに合わせましょう。
日中の外出時の授乳が減るため目につくことは少なくなりますが、実際には2歳を過ぎてあげているママもいます。
卒乳を目指す場合は、周囲からの
「まだおっぱいあげてるの?」
などといったプレッシャーに負けずに、子どもが自分から自然とおっぱいをほしがらなくなるまで、授乳を続ける意思の強さが必要になります。
続けることにはメリットも多いです。
また、子どもの方からおっぱいから離れてくれる前に母乳が出なくなってしまっては、卒乳ではなく断乳になってしまいますので、母乳が出続けるように食生活・体調管理に気を配る必要があるでしょう。
早めの卒乳・断乳のメリットは?
母乳育児を続けることは幸せな時間ですが、その時間を手放すことで得られるメリットも実はたくさんあります。
トラブルがなくなる
授乳をしていると、気を付けていたのに乳腺炎になってしまったり、切れて痛かったり、張って痛かったり、といったトラブルがつきものです。
母乳が作られなくなると、そういったトラブルともさよならできます。
仕事に集中できる
保育園に預けて仕事に復帰しながら母乳育児を続けるとなると、仕事中におっぱいが張って痛かったり、仕事を抜け出して搾乳したりしなければならない場合があります。
働くママにとってはつらいときがあります。
授乳を終えていればそのようなケアも必要なく、仕事に集中できることでしょう。
ぐっすり眠れる
添い乳で眠りについた赤ちゃんは、眠りが浅くなった瞬間に、おっぱいをくわえていないことに気づくと夜泣きをします。
しかし、最初からおっぱいをくわえずに寝つくことができれば、眠りが深くなり、朝までぐっすり眠れる日が増えます。
ママも夜中に起こされることが少なくなり、睡眠不足も改善することでしょう。
食べ物や飲み物に気を付けなくてよくなる
授乳中はお酒のアルコールやコーヒーなどのカフェインに気を付けたり、いろんな食事に気をつかっていたと思います。
好きなときに、好きなものを食べたり飲んだりできるのはうれしいですね。
おっぱいのことを気にせず鎮痛剤や抗生物質などの薬を飲めることも、忙しいママにとってはありがたいことです。
赤ちゃんにとっても
寝る前の授乳をやめると、眠りが深くなります。
そのため、夜泣きが治まるというメリットが期待できます。
「ママにべったりくっついてばかりいる子が断乳したら活発に遊ぶようになった」
という話もよく聞きます。
おっぱいとさよならしたことで、子どもの自立が促されるのですね。
個人差はありますが、離乳食を食べる量が増える子もいます。
食べてくれないと悩んでいるのなら、思い切って断乳するというのも選択肢の1つだと思います。
離乳食を進める
卒乳にしても断乳にしても、離乳食が進んでからです。
ということで、離乳食を早めに始めることも選択肢に入ってきます。
とくに復職の予定があらかじめ分かっている方など、まだ赤ちゃんが小さいうちから早く断乳させる必要があると分かっている方は、離乳食を少し早めにスタートさせることは有力な選択肢になります。
赤ちゃんは5ヶ月くらいになると他の家族の食べているものに興味を示すようになります。
赤ちゃんの体調面に問題がなければ5ヶ月のうちに離乳食をスタートさせ、少し早めに離乳食に慣れさせましょう。
標準的な目安量の離乳食が毎食、食べられていれば栄養面に関する心配はありません。
その時期にあった離乳食を進め、離乳食の完了期には断乳できるように量を増やしていきましょう。
ただし、いくら早く始めるといっても、5ヶ月未満の赤ちゃんに離乳食を食べさせるのはNGです。
とくに5ヶ月未満の赤ちゃんは飲み込みの機能や消化器官が未熟ですから、誤飲や体調不良の原因となります。
欲しそうにしていても食べさせてはいけませんので、注意してください。
先日起きてしまった乳児ボツリヌス症での死亡例も、大人なら大丈夫なものでも消化器官の未発達な赤ちゃんにとっては危険なものがあるということを世の中に再認識させる出来事でしたね。
断乳は3回食がしっかり食べられるようになったら
あらためて言いますが、離乳食を開始して間もない時期の赤ちゃんは、まだまだ母乳やミルクからの栄養がメイン。
この時点で断乳(断ミルクも含む)してしまうと、赤ちゃんは栄養不足になってしまいます。
断乳が可能になるのは、最短でも離乳食を朝、昼、夜と3回規則正しく食べられるリズムが整ってから。
離乳食の後期~完了期には、大人のご飯からの取り分けなど、大人とほぼ同じメニューが食べられるようになります。
食べる量や食べられる固さは赤ちゃんそれぞれの個人差がありますので、それほど神経質に考慮する必要はありません。
ポイントはリズムがしっかり整ったと感じたとき。
そのときは断乳の時期を具体的に検討してもいい時期、と考えることができます。
早めの断乳・卒乳で注意するポイントは?
脱水に注意!
赤ちゃんは、小さい体全体から常に大量の汗をかいています。
おっぱいを飲まなくなると水分補給が急激に少なくなるので、脱水に注意が必要です。
離乳食をはじめると同時に、ストローマグやコップで麦茶や水を飲む練習をはじめましょう。
方法は簡単です。
パックの麦茶等にストローを刺し、横をちょっと押さえてあげるとお茶が上がってきますよね。
ストローをくわえさせた状態でそれを何回か繰り返すと、自分でストローを吸うことを覚えます。
案外すぐにできるようになりますよ。
コップで水分を飲ませる場合は、取っ手のあるコップに水や麦茶を注ぎ、傾けて少しずつ飲ませます。
最初はこぼす方が多いかもしれませんが、少しずつ飲ませているうちにだんだん上手になっていきます。
なお、コップやマグは透明なものの方が中身が見えて、飲んでいるかどうかがわかりやすいので便利です。
便秘に注意!
離乳食をはじめると、急に便秘になる赤ちゃんがいます。
それはおっぱいからの水分摂取がなくなるのと、離乳食で固形物を食べるようになるというふたつが重なることで、急に便が固くなることが原因です。
離乳食が進むと、急におっぱいを飲む量が減ってしまうことがあります。
そのときは意識して水分を多く与え、便秘に注意しましょう。
もし赤ちゃんが便秘かもしれないと思うときは、
- りんご果汁
- みかん果汁
- オリゴ糖
- マルツエキス
などが便を出やすくしてくれますので、試してみて下さい。
母乳だけがママの愛情じゃない
私が母乳育児を終わらせる時期について悩んでいたときは、
「ママの都合で勝手に終わらせてしまっていいのだろうか」
という葛藤がありました。
授乳をしていると、
「こんなに幸せそうにおっぱいを飲んでいるのに、ママの都合で断乳するなんて、かわいそう…」
という罪悪感が少なからずありました。
しかし冷静に考えると、離乳食が上手に進んでいるのなら母乳はすでにサブの栄養補給となってきているので、終わらせてしまっても赤ちゃんの栄養面での影響はほとんどありません。
母乳を与えることだけがママの愛情を赤ちゃんに伝える方法ではありません。
たくさん抱っこをして、スキンシップをして、笑いかけて、声をきかせてあげることで、赤ちゃんはたくさんの愛情を感じています。
母乳育児を卒業しても、愛情は別の方法でも伝わりますから、罪悪感を感じる必要はありません。
悩んで、暗い顔をしたり、イライラしたりしながら授乳するよりも、
「幸せな時間をありがとう」
と赤ちゃんに感謝してスッパリ終わらせて、ほかの方法でのスキンシップで愛情を伝えてあげたほうが赤ちゃんも喜んでくれるはずです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、母乳育児はいつまで続ければいいかということと、やめるためにできることのお話でした。
母乳はよほどの事情がなければ、3ヶ月は与えましょう。
ミルクを含めた授乳は、短ければ10ヶ月ごろに終える子もいます。
やめるときは離乳食の進み具合をみながら、
「うちの子はどうかしら?」
と考えてみてはいかがでしょうか。
計画性をもって断乳時期を決めることが、スムーズに母乳育児を終えるポイントです。
日々、たくさんの新しい刺激でいっぱいの赤ちゃんにとって、ママのおっぱいは一番落ち着ける場所であり、授乳はママと赤ちゃんの大切なスキンシップです。
授乳がなくなると、スキンシップが減って、情緒不安定になる子もいるかもしれません。
断乳・卒乳後は、赤ちゃんと一緒に遊ぶ時間を増やしたり、抱っこをたくさんしたり、と意識してスキンシップを増やしましょう。
おっぱいから離れた赤ちゃんの不安な気持ちや寂しい気持ちに寄り添い、授乳に代わるコミュニケーションを図ることが、母乳育児をやめるときに成功のカギになると思います。
母乳を完全にやめる前に、夜中の授乳だけやめるというステップを踏むことも可能です。
もし興味がありましたら、つぎの記事をお読みください。
ところでHTLV-1については先日義妹が感染していることがわかりました。
3ヶ月までは直接飲ませて、その後母乳は一度冷凍してから赤ちゃんに飲ませるように指導されたそうです。
「直接飲ませてはいけない」
ということは、想像するだけでも大変です。
(※その後、厚生労働省から通達があり、「1ケ月で授乳やめることになった」と言っていました。東京医師会のサイトへのリンクが切れているのはそういう理由があります。)
それでは、あなたの子育てが少しでも楽に・楽しくなることを祈りつつ、この記事を終わります。
今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございました!