妊娠初期症状として便秘がでたら。中期・後期まで継続しないためにできること。
妊娠すると、便秘しやすくなります。
「赤ちゃんに影響ないだろうか」
など、心配ですよね。
頑張ってたまに出たときもウサギうんちのようにコロコロとちょっとだけだったり、またあるときはトイレが詰まるかというほどの量が出て切れ痔になった上に、そのあとしばらく下痢になったり…
散々な目にあってしまう妊婦さんもいらっしゃいます。
ここで妊娠中の便秘について知って、スッキリ妊娠生活を送りましょう。
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便秘が続くと…?
お腹が大きくなっていく時期です。
子宮が骨盤内の血管を圧迫しやすい状態になっています。
そこでさらに便秘もあると、さらに血管を圧迫し、痔になりやすくなります。
血流の悪化によって起きる痔は、いわゆる“いぼ痔”が多いです。
脱肛にもなりやすくなります。
そしてたまに出たときに便が硬くて、“切れ痔”にもなりやすいです。
ひどくなってくると、腹痛はもちろん、腰痛も起きてきます。
さらに吐き気も起きます。
便が詰まっているため、食べ物を食べてもうまく消化できず、戻してしまうことになります。
「そうなる前に」
とトイレで頑張ってみて、硬くなった便が肛門近くで引っかかった状態で止まってしまう人もいます。
そうなってしまうと
「出せない、戻せない」
という気持ち悪い状況になり、最後は指で掻き出すことになってしまうでしょう。
そうなってしまう前に、原因を知り、できることをやっていきましょう。
妊娠初期に便秘になりやすい原因
内分泌系の変化
とくに妊娠初期はプロゲステロンの分泌が増えていきます。
プロゲステロンは腸の動きを抑える働きがありますので、食べ物が先に進みにくくなります。
腸を進むのが遅くなるぶん、栄養や水分の多くが吸収され、便が固くなります。
循環器系の変化
これはさきほど述べた、骨盤内の血管の圧迫のことです。
消化器系の変化
とくにつわりがあると、食事量や水分摂取量は少なくなりがちです。
食事量が減れば便が溜まりにくくなりますので、自然と便の回数は減ります。
水分摂取量が落ちたら便は硬くなり、出にくくなります。
妊娠後期ともなるとお腹がかなり大きくなり、さらに腸を圧迫してその動きが悪くなります。
痔→痛い→トイレに行きたくなくなる→便秘
痔、とくに切れ痔になると痛いです。
切れ痔がひどくなると、ウォシュレットを一番弱い勢いにしていたって水が当たった瞬間にズキッときて飛び上がりそうになったりします。
そんな目に合うことがわかっているとしたら、トイレに行きたくなくなりますよね。
それで便秘が悪化してしまいます。
偏った食事
これはつわりとも関連があります。
「食べれるものを」
と思って食事が偏ってしまうことは仕方ないことですが、便秘につながりやすいです。
運動不足
これも妊娠すると仕方ないことですよね。
「大事にしなきゃ」
と思うと運動も控えがちになります。
体を動かすことは腸への刺激となり、排便を促しますので、体を動かすことが減るということは、腸への刺激も減るということです。
ストレス
腸の動きは、自律神経の影響を受けています。
ストレスが溜まっていると自律神経の働きが乱れ、腸の動きに影響が出ます。
ストレスが原因の便秘では、便秘と下痢を繰り返しやすい傾向にあります。
いきむことによる胎児への影響の恐れ
妊娠したら
「いきんだときに赤ちゃんは苦しくなったりしないかな」
「破水しないかな…」
と心配になりますよね。
多少でしたら問題ありませんが「多少」の感覚は人それぞれですので、
「多少なら大丈夫」
と言ってしまうと
「多少ならいいんだ」
と、いきみすぎてしまう人も出てきます。
もし排便のためにいきんで、そのあとお腹が痛くなったら、痛みの程度と継続時間を考えて、病院受診を考えましょう。
あまりに痛いときは、すぐです。
出血があったときも、すぐです。
妊娠中期・後期も便秘が続く人もいる
ここまで紹介した便秘の原因は、妊娠初期特有のものでなく、中期・後期も継続するものがほとんどです。
ですので、対策は早めに行ったほうが楽ですし、母子ともに健康に過ごせます。
妊娠中の便秘解消法
なるべく病院に行きたくはないでしょうから、まずは自分でできる簡単で安全なことから試していくことになります。
食生活の改善と、適度な運動と、規則的な生活が三本柱です。
しかしやはり、できれば早めに病院に相談しましょう。
とくに自分の判断で便秘薬を飲むのはやめておきましょうね。
仮にそれで出たとして、そのあと
「これがないと出ない」
と思い始めるとどんどん量が増えていき、胎児に危険が及ぶ量を服用してしまうおそれがあります。
薬を飲むなら病院で処方してもらって、飲んでいいと言われた量を飲むべきです。
さてそれでは、自分でできることをはじめましょう。
食生活の改善
水分摂取
意識して水分を摂ってみましょう。
目標は1日2リットルです。
おおよそ1時間に1回100ml飲むと、1回で1.5リットルは飲めます。
さらに食事時に100mlプラスすれば、もう1.8リットルです。
できれば余計なものが入っていない、水や麦茶がいいですね。
妊娠中の水分摂取における“余計なもの”についてはつぎの記事で詳しく書いています。→妊娠すると喉が渇きやすくなります。妊娠初期だけでなく、後期まで渇きが続くことも。
食物繊維
妊娠中の便秘は、プロゲステロンの働きで腸の動きが抑えられて起こるものと考えられます。
このときは腸に刺激を与えてやった方が腸の動きが良くなりますので、水に溶けにくい繊維質、不溶性繊維質の多いものを積極的に食べましょう。
野菜に多いです。
もしストレスが原因で、便秘と下痢を繰り返しているときは刺激を与えない方がいいですので、水に溶けやすい繊維質、水溶性繊維質の多いものを積極的に食べたほうがいいです。
これは果物を少し多めに食べることになりますが、果物には果糖も多いですので量の調節が難しくなってきます。
しかし今起きている便秘がホルモンバランスのせいなのかストレスのせいなのか、それともほかの原因なのかは自分ではわからないことが多いですので、病院に行って医師に対処してもらう方が安全です。
もし間違ったことしてしまったら悪化することもあります。
そして特定の食材を紹介してしまうとそればかり食べて栄養バランスを悪くしてしまう人も出てきてしまいますので、ここでは
「野菜と果物のバランスよく」
と述べるにとどめておきます。
妊娠中は赤ちゃんのためにいろんな栄養素を多くとる必要が出てきますので、できればほかの栄養にも気を配っていきましょうね。
そのときはつぎの記事を参考にしてみましょう。→妊婦さん必見!妊娠中に好ましい食事、避けたい食事!
乳酸菌
腸を整えてくれるものとしては、乳酸菌の多いものは一般的ですね。
とくにヨーグルトは代表的です。
オリゴ糖
赤ちゃんが便秘になったときは、オリゴ糖を水に溶かして飲ませたりします。
それは大人にも使える方法なのです。
実はバナナにも多く含まれています。
適度な運動
体を大事にすることは大事です。
それは「安静にする」という意味でなく、健康的な生活をするということです。
つまり、ほどよく体を動かす必要があります。
それは便秘の解消だけでなく、むくみの予防・解消につながりますし、産後の回復の早さにもつながります。
そのためにできるもののうち、よく言われるのはウォーキングとストレッチです。
もっと積極的にやるなら、
- 妊婦体操
- 妊婦水泳
- マタニティビクス
の教室等に通うのもいいですね。
仲間が見つかって、妊娠中のいろんな話がはずむでしょう。
もし妊娠前までやっていたスポーツがあるなら、そのスポーツにつながる動きを少しだけでもやっておくと、産後に復帰するときに勘を取り戻すのが早くなりますよ。
規則的な生活
規則的な生活を送ることで、“この時間にはこれをする”と習慣づいて、その時間に近づくと体は準備をしてくれるようになっていきます。
トイレもそうです。
「この時間はトイレ」
と決めておくと、その時間に合わせて体は準備してくれるようになっていきます。
出ないときもありますが、そのときはそのときでOKです。
習慣づけが目的ですので、どうしても頑張って出さないといけないわけではありません。
あなたが一番スムーズにいきそうな時間を決めて、朝一なら朝一で、毎日その時間にトライする、それでいいのです。
まとめ
妊娠すると便秘になりやすくなります。
それはホルモンバランスの変化だったり、子宮が大きくなって骨盤内の血管を圧迫することでもたらされます。
便秘が続くと、痔になったり腰痛や吐き気が出たりします。
妊娠中の便秘の原因は、初期だけでなく後期まで続くものがほとんどですから、早めに解消したいですね。
解消するためにできることは、食生活の改善をはじめとして、適度な運動を行い、規則的な生活を送ることです。
便秘薬を自己判断で飲むときは慎重に。
自己判断では使用量が増えていきがちですので、できれば病院で処方してもらって用量を決めてもらうようにしましょう。
あなたの妊娠生活が平和であることを祈ります。
さて、今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございました!
参考文献:
系統看護学講座 専門 24 母性看護学1
系統看護学講座 専門 24 母性看護学2
系統看護学講座 専門 9 成人看護学5
看護師・看護学生のためのレビューブック 第12版