妊娠すると喉が渇きやすくなります。妊娠初期だけでなく、後期まで渇きが続くことも。
妊娠初期には、喉が渇きやすくなります。
この症状がでてから「妊娠したかも」と気づく人もいます。
妊娠してると水分補給にも気を使いますよね。
ここでしっかり学んで、あなたと赤ちゃんの健康を守りましょう。
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妊娠初期に喉が渇く5つの理由
妊娠すると、さまざまな変化が起きて喉が渇きやすくなります。
以下ではその変化を見ていきましょう。
理由1:内分泌系の変化
妊娠すると、妊娠を継続させるためにホルモンバランスが変化します。
これによって、妊娠していないときと違うことが起きやすくなります。
ここでは喉の渇きですね。
ほかにも例えば、妊娠していないときは生理前にニキビができていたのに、妊娠したらまったくニキビができなくなったり、逆に妊娠してからニキビができたりする人もいます。
妊娠したらエストロゲンもプロゲステロンも分泌が増加します。
のどの渇きが出るのは、プロゲステロンの影響が大きいと考えられます。
プロゲステロンの分泌増加により、基礎体温が上がります。
それによって、汗をかきやすくなり、水分が今まで以上に体から出ていくため、喉が渇きます。
プロゲステロンは出産まで増加傾向が続きますので、この原因による喉の渇きは、出産まで続くと言えます。
さらにアルドステロンというホルモンの分泌も増えます。
これによって体は水分をためこみやすくなります。
ため込むなら喉は渇きにくくなると思われるかもしれませんが、口の中に唾液として分泌されるぶんも制限されると考えられ、
「喉が渇きやすくなった」
と感じることでしょう。
理由2:呼吸器系の変化
赤ちゃんにも酸素を送るために、呼吸の数が増え、そのぶん喉を通る空気が増え、喉は乾きやすくなります。
とくに妊娠後期においては、赤ちゃんが大きくなるため、さらに呼吸は増えます。。
理由3:循環器系の変化
赤ちゃんにしっかりと栄養を送るため、そして出産時の出血に備えるため、血液の量は増えていきます。
血液の多くは水分ですので、それを作るためには多くの水が必要になります。
それで喉が渇きやすくなると考えらます。
理由4:消化器系の変化
わかりやすく言うと、つわりですね。
液体としての水分摂取は今まで通りに行っていたとしても、食事の量が減っていたら、その食べ物に含まれていた水分のぶんは摂取量は減っています。
それで喉が渇いているのかもしれません。
理由5:泌尿器系の変化
妊娠初期は子宮が骨盤内で大きくなりますので、それにより膀胱が圧迫されて、頻尿になりがちです。
妊娠後期は胎児の頭部が骨盤内に降りてきますので、それで膀胱が圧迫されて頻尿になりがちです。
さらに妊娠初期から中期にかけて、腎臓を通過する血液の量が増えます。
腎臓は通過した血液をろ過しますので、通過する血液が増えれば、ろ過される不純物も増え、尿が増えます。
理由6:意識の変化
「妊娠したから飲み物に気をつけなくちゃ」
と思って、今まで飲んでいたものを飲まなくなっていませんか?
その配慮は正しいです。
そのぶんほかのもので水分を取っていれば喉の渇きも起きにくいですが、いつも飲んでいるものほど飲んでいないことも考えられます。
妊娠中期・後期のほうが喉が渇きやすい人もいる
以上のように、妊娠初期だけでなく継続・増強していく原因もあります。
ですので、妊娠中期・後期のほうが喉が渇く人もいます。
どの期間においても適切な水分補給が必要ですので、つぎは水分補給のお話です。
のどが乾いたら適切な水分補給を
「適切」と一言で言っても、量・タイミング・回数・飲み物の種類等、考えることは多いです。
ひとまずは緊急的な話題、つわりがあるときからみていきましょう。
つわりがあるとき
つわりが重いと、食事はもちろん、水分も喉を通りにくくなりますよね。
そんなときは氷を舐めたり、炭酸水を試してみましょう。
「ほかのは無理だったけど、これならなんとか口にできた」
という妊婦さんも多いです。
量
食事がとれているなら、1日1.5~2リットルを目安に飲みましょう。
食事がとれていないときは、食べ物に含まれる水分が取れていませんので、きついかもしれませんが2リットルを目標にしましょう。
そうすれば喉の渇きはずいぶんと和らぐはずです。
回数
ガブ飲みはできないと思いますが、一気にたくさん飲むと余ったぶんは排出されます。
回数を多めに、1回の量は少なめ(100mlくらい)にしてみましょう。
温度
できれば常温か、ちょっと温かいくらいです。
冷たいと体が冷えますし、熱すぎてもストレス反応が大きくなります。
タイミング
「喉が渇いた」
と思ったときにはもう水分が足りていない状態ですから、そう感じる前に飲むことをお勧めします。
1回の量を100mlにするなら、起きているとき1時間に1回飲むと、1日に1.5リットルは確保できますよね。
さらにしばらく飲めない就寝前、水分を失った起床後・入浴後に多めに飲むと、1日2リットルは簡単に達成されます。
成分
とくに気をつけたいものは、
- アルコール
- カフェイン
- 糖質
- 塩分
- 人工甘味料
です。
アルコール
飲酒による異常のうち、奇形は妊娠初期に、発達遅延や中枢神経系の機能不全は妊娠末期の飲酒と関連があるたばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう – 厚生労働省
カフェイン
糖質
糖質のあるもののほうが飲みやすく、腸からの水分の吸収も早くなります。
しかし、市販のジュースには多量の糖が含まれているものが多く、それを1日1.5リットル以上も飲んでいたら糖尿病になってしまうでしょう。
人工甘味料
「糖がダメなら人工甘味料」
と思った方は、半分正解です。
ほどよく付き合っていく必要がありますが、“ほどよく”とはどのくらいなのかは解明されていません。
今はまだ、私たちは人工甘味料の影響実験のモルモットなのです。
妊娠していないときなら、影響が出るのは飲んだ人だけですが、妊娠していたら赤ちゃんにも、いやむしろ赤ちゃんにだけ影響があることだって考えられます。
つまり、人工甘味料は最初から取らないほうが無難ということになります。
人工甘味料は血糖値やインスリン分泌に直接影響を与えないものの、味覚刺激や最近では腸内細菌叢の変化を介して糖代謝に影響することが考えられている。
人工甘味料は、砂糖の代替甘味料として肥満や糖尿病の予防や治療に有用と思われるが、慢性的な健康影響も考慮した上で上手に利用すべきである。人工甘味料と糖代謝
塩分
糖質と同じく、塩分の摂りすぎにも注意が必要です。
ナトリウムの摂りすぎは高血圧やむくみにつながりまます。
タンニン
茶系飲料に多く含まれる成分です。
これは
「鉄分と結合して、鉄分の吸収を妨げてしまう」
と言われていますが、飲みすぎなければ問題ありませんし、食事と時間をずらせばなお万全です。
タンニンに気をつけるよりも妊娠中期以降に多く必要になる鉄分の摂取を心がけた方が賢明です。
むくむかむくまないか
妊娠するとホルモンバランスの変化により、むくみやすくなります。
それで
「水分を控えたほうがいいのかな」
と思われる方もいらっしゃると思いますが、意味があって体は水分をためこむよう変化しているのですから、水分を控えることは望ましくありません。
喉の渇きを覚えたときには脱水症状が迫っています。
脱水症状になってしまったら、妊娠の継続に影響が出てしまうこともあります。
水分を摂っても、必要なぶんのみ利用され、余ったぶんは排出されます。
毎日1.5~2リットルは摂取しましょう。
おススメの飲み物・注意したい飲み物
以上の成分を考慮して、おすすめの飲み物を考えると、水か麦茶がベストということになります。
水は水道水は飲みたくないでしょうから、ボトルで買うか、ウォーターサーバーを借りるかすることになるかと思います。
買って運ぶとしたら結構重いですから、とくにお腹が大きくなってくると大変です。
ウォーターサーバーならボトルを家まで運んでくれますから楽ですね。
注意したい飲み物としては、アルコール類は当然として、カフェインの多いコーヒー・紅茶・玉露・緑茶・ウーロン茶・ほうじ茶、そして糖質または人工甘味料の多いスポーツドリンクということになります。
病気のせいで喉が渇くこともある
糖の話のとき、ちょっと糖尿病の話がでましたね。
糖尿病になると、喉が渇きやすくなります。
ここで紹介した水分摂取のポイントをおさえても喉の渇きが続くときは、それも疑ってみましょう。
早めの病院受診をおすすめします。
まとめ
妊娠すると、喉が渇きやすくなります。
それは内分泌系・呼吸器系・循環器系・消化器系・泌尿器系・意識の変化により、今までよりも多くの水分が必要になってくるからです。
妊娠初期だけでなく、むしろ増強されることもあります。
しかしここで紹介した対策を行ってもらえば、喉の渇きは抑えられるはずです。
それでも喉の渇きがおさまらないときは、病院に行って相談しましょう。
もし妊娠の検査がまだでしたら、検査薬を使っての検査をおすすめします。→妊娠検査薬はいつから使える?反応する時期を教えます!
今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございました!
参考文献:
系統看護学講座 専門25 母性看護学2
看護師・看護学生のためのレビューブック 第12版