哺乳瓶の消毒に、食洗器を使うときのポイント!
哺乳瓶の消毒に、食洗器を選びましたか?
「具体的にはどうすればいいんだろう?」
「気を付けた方がいいことはあるかな?」
と思っているところでしょう。
そこで今回は、哺乳瓶を食洗器で消毒するときのポイントです。
見出しで拾い読みする?
そもそも食洗器で消毒はできるのか?
食器洗い乾燥機で哺乳瓶の消毒はできるのでしょうか?
答えは「できない」です。
しかし、上手に使えば、消毒前の「洗浄」としては、手洗いよりもかなりしっかりキレイになることは間違いないようです。
「消毒に食洗器を使うときのポイント」とかいうタイトルをつけて読んでもらっていて、このままでは申し訳ありませんので、今回は、哺乳瓶の消毒を食器洗い乾燥機できない理由を、かなり入念に調べました結果をお知らせします。
どんな食洗機があるの?
これまで、いろいろなメーカーから食器洗い乾燥機が発売されてきましたが、現在は撤退しているメーカーも多くあります。
現在おもに流通しており、現行で発売しているメーカーを調べたところ、日本製のものと外国製のものがありました。
おもなもののスペックをまとめてみました。
パナソニック製
ビルトインタイプ、卓上タイプともに最も多く流通しているのがパナソニック製の食器洗い乾燥機です。
パワフルコースでは
- 70℃のお湯で5分間洗浄
- 80℃すすぎ(6~16分)
をします。
また、「バイオパワー除菌」という機能がついており、庫内の食器についた菌(何菌かは不明だが1種類で実験)を99%除菌できると書いてあります。
しかし同時に、ホームページには何カ所も
「哺乳びんの消毒はできません」
との記載があります。
リンナイ製
現行では、ビルトインタイプのみを発売しています。
- プラズマクラスター
- 銀イオンで大腸菌を99%除菌
- 除菌スチーム洗浄
とかなり除菌機能に力を入れています。
しかしながら、取扱説明書には、はっきりと哺乳びんは洗えない、とは書いてないものの
「ビン、とっくりなどの口の小さい物は中が洗えません」
との記載とともに、哺乳びんにそっくりのイラストが書いてあります。
なお、洗浄温度は60℃~80℃、すすぎは60℃と書かれており、湯温はパナソニック製よりも少し低いようです。
参考:http://rinnai.jp/products/kitchen/kitchen_dryer/
三菱製
現行では、こちらもビルトインタイプのみを発売しています。
ホームページ上では商品説明が簡素で、「除菌モード」があると書かれていますが詳細はどのようなものなのかは書かれていませんでした。
また、洗浄、すすぎともお湯の温度は最高で60℃でした。
参考:https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/builtin-dishwasher/
エレクトロラックス製
こちらはスウェーデン製の食器洗い乾燥機です。
ホームページ上では除菌をうたった部分はありませんでした。
またすすぎ温度は最高で70℃と書いてありました。
複雑な形のワイングラスでも洗えるグラスモードがあるようです。
ミーレ製
こちらはドイツ製の食器洗い乾燥機です。
汚れのひどいものは75℃のお湯で洗ってくれます。
「70℃で哺乳びんの洗浄・除菌」と書かれていました。
アスコ製
こちらはスウェーデン製の食器洗い乾燥機です。
ホームページ上で除菌をうたった部分はありませんでした。
特徴的なのが、水筒や哺乳びんを逆さまに立てる専用のパーツがあり、またそれに対応する専用のノズルがあることです。
お湯の温度は60℃ですが、哺乳びんを入れることを想定してある様子でした。
菌は何度で死滅する?
食中毒を引き起こすおそれのある細菌として、
- 大腸菌
- サルモネラ菌
- 黄色ブドウ球菌
などがあります。
これらの菌は75℃で1分以上加熱で死滅します。
また、冬場の下痢おう吐の原因として有名なノロウイルスやロタウイルスは85℃で1分以上の加熱で死滅します。
しかし、蜂蜜の中に入っているボツリヌス菌のように、100℃で数分間熱しないと死滅しないものもあります。
さらに一晩置いたカレーや学校給食の食中毒の原因として多く耳にするウエルシュ菌の中には、100℃で数時間加熱しないと死滅しないものがあります。
参考:ウエルシュ菌(食中毒)- 公益財団法人日本食中毒情報センター
それに比べて緑膿菌は55℃1時間で死滅しますし、カンジダ菌は真菌、つまりカビなので60℃10分で死滅するので、比較的熱に弱い菌です。
また、枯草菌は、120℃2気圧15分以上でないと死滅せず、「滅菌」レベルの殺菌処理が必要な熱に強い菌です。
ただ枯草菌はヒトに対しての病原性がほとんどないようで、家庭でそこまでする必要はなさそうです。
このように、菌やウイルスの種類によって、死滅する温度は様々で、これらを全部死滅させようとすると大変な作業になってしまいますね。
そもそも消毒って何?除菌、滅菌とは違うの?
消毒・除菌・殺菌
「消毒」と似た言葉で、「除菌」や「滅菌」という言葉もありますよね。
その違いは何でしょうか。
看護士を対象としたホームページによると、次のように定義されていました。
消毒→対象物に付着している病原性のある微生物を、害のない程度まで減らすこと。
殺菌→対象物に付着する菌を殺すこと。有効性に対する厳密な保証はない。
滅菌→対照物を限りなく無菌に近づけるための工程。
参考:消毒・殺菌・滅菌|いまさら聞けない!ナースの常識【4】
つまり、食洗機メーカーができると言っていた「殺菌」というのは、
「実験につかった菌で、実験したときには殺すことができたよ」
と言っていたのです。
これは、毎回きちんと害のないレベルまでいろいろな菌を減らせると保証したものではなかったのです。
熱水消毒処理ができるのでは?
では、「消毒」と言えるレベルの処理とは、どのようなものでしょうか。
こちらの資料を確認すると、
と書かれていました。
80℃すすぎをうたっているパナソニック製の食器洗い乾燥機では、6~16分80℃のお湯ですすいでくれるので、
「10分以上やってくれていればこの熱水処理ができているのではないか?」
とも思いますが、残念ながらパナソニックは「消毒はできません」と言い切っています。
洗浄の代わりしかできない
日本感染症学会のホームページ内のQ&Aには、
「哺乳瓶や乳首は滅菌が必要ですか?」
といった質問があり、
「滅菌は必要ない」
ということが書かれています。
同時に、
洗浄・消毒の推奨がしてあります。
またその文章内には
という一文があり、
「この“食器自動熱水洗浄機”というのが、食器洗い乾燥機のことではないか?」
と思い、調べたのですが、これは医療用の器具のことをさしており、家庭用の食器洗い乾燥機のことではないようでした。
歯科医療関係者を対象にしたホームページは、
「家庭用食器洗浄機は、適切に使えば有効だが、医療機器ではないため、十分洗浄できない可能性があるから、あくまでも消毒前の洗浄の代わりにしかならない」
という内容のことが書かれていました。
参考:家庭用食器洗浄機の医療器材洗浄使用について – Oral Studio
洗浄には使える
哺乳瓶の消毒には使えない、とわかった食洗機ですが、消毒する前の洗浄に使うのはとてもキレイに洗い上げてくれます。
手洗いでは不可能なほどの高温で洗ってくれますし、食洗機専用洗剤は普通の食器洗い洗剤の成分の他に漂白成分が含まれているものもあります。
そのため、手荒れ対策やまとめ洗いのときなどに食洗機を使う、というのはとっても便利な方法です。
なお、
「洗浄の代わりだけでいいから食洗機を使おう」
という場合は、乳首部分は専用カゴなどに入れ、直接入れないように気を付けましょう。
「軽くて小さいものはとばされやすいので入れないで下さい」
と、取扱説明書に書いてあります。
また、食洗機では、他の食器からうつった汚れがくっついてしまっていたり、コップの底の汚れが落ちていなかったり、庫内がぬめってしまったり、という場合があります。
食洗機で洗った後の哺乳瓶に汚れが残っていないか、自分の目で確認した方がベターです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、哺乳瓶は食洗器で消毒できるかどうか、というお話でした。
現在の食洗機では、うまくお湯の吹き出し口に哺乳瓶の内側が当たれば消毒レベルまで菌を減らせるかもしれないけど、そうじゃなかったら汚れすら落とせないときもある、という風なばらつきがあるのが現状です。
これでは、
「消毒できます!」
とは言い切れないのです。
残念ながら食洗機では消毒はできませんが、洗浄はかなりキレイにしてくれます。
食洗機を持っている方は、上手に使って育児を楽にしてくださいね。
ところでほかの消毒方法の特徴を、つぎの記事にまとめています。
いろんな消毒方法を知っておくと、いろんな状況に対応できるようになりますよ。
今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございました!