ガソリンをペットボトルに入れる。祖母の見解は「大丈夫」
ガソリンを保管するとき、
「専用の容器じゃないとダメなのかな」
「ペットボトルでいいんじゃない」
と思いますよね。
祖母は「ペットボトルで大丈夫」と言って、実際にペットボトルに入れていますが、
私は「やめておいたほうがいい」と思います。
今回は、祖母が「ガソリンをペットボトルで保管しても大丈夫」という根拠と、私が「やめたほうがいい」と思う根拠です。
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ガソリンをペットボトルに入れていい~祖母の考え方~
祖母は「大丈夫」と言って、実際にペットボトルにガソリンを入れて保管しています。
「大丈夫」と言う根拠は、
「今まで大丈夫だったから」です。
経験則ですね。
たしかに、うちでは今まで、実際に引火したり爆発したことはありません。
ガソリンはペットボトルに入れないほうがいい~私の考え方~
私は「危険物なのだから専用容器で保管すべき」という考え方です。
ペットボトルはガソリンを保管することを想定して作られてはいません。
専用の容器であれば、ガソリンを入れることでの劣化も計算して作ってあるはずですから、比較的安心できます。
ペットボトルでの保管が怖い理由は、ガソリンの性質にあります。
気化しやすい
中のものが気化すれば、ペットボトル内の圧力が上がります。
圧力が上がれば、破裂するおそれも大きくなります。
破裂すればガソリンを撒き散らすことになり、非常に危険です。
だからといって蓋をゆるめておくと、常に気化したガソリンが出続けることになり、これも危険です。
動かすと電気を帯びる
ガソリン自体は電気を通さない、不導体と呼ばれるものです。
不導体は摩擦で電気を帯びるという性質があります。
つまりガソリンは、動かすだけで電気がたまっていきます。
容器が金属であれば電気を逃がすことができますが、ペットボトルでの保管では電気の逃げ場がありません。
ペットボトルからガソリンを出したときに静電気でパチッとなりやすくなり、そうなったときには爆発です。
このことから、専用容器でも、ポリの容器よりも金属の容器のほうが安全と言えます。
プラスチックを金属並みに電気を通すようにする方法もあるのですが、余談ですので詳しくはつぎのサイトにお任せします。
参考:プラスチックが電気を通す!~ノーベル化学賞 白川英樹先生が発見した共役高分子の魅力~
祖母の考え方に対する、私の考え
「今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫」という経験則、本当にそうなんでしょうか?
もしかして今まで大丈夫だったのは、ただの偶然かもしれません。
もしかして明日にでも、ペットボトルの内圧は限界を迎え、破裂するかもしれません。
赤信号を「今まで大丈夫だったから」と言って無視し続けて、ずっと大丈夫な保障なんてどこにもありません。
ガソリンは危険物です。
引火すれば、爆発的に燃えます。
ペットボトルに入れているガソリンに引火すれば、爆発するでしょう。
そのとき果たして、祖母は無事なのでしょうか?
きっと無事では済みません。
しかし私が「危ないよ」と言ったところで「大丈夫」という返事しか返ってきません。
結局、人は自分が信じたものを信じるだけなのです。
もしペットボトルに入れたガソリンが爆発したとき祖母は
「今までこんなことはなかったのに…」と言うでしょう。
言えるんでしょうか?
もしかしたら言えなくなってるかもしれません。
それでも祖母が信じた道を進んでの結果ですから、納得していない選択肢を強制されるより幸せな人生だと思います。
ガソリンをペットボトルに保管することは、法令的にはどうなのか
ガソリンは危険物ですから、保管することについて決まりがあります。
10リットルまででしたら、プラスチックの容器に保管することが認められています。
政令によって規定されています。
つぎのページにある別表3-2に書いてあります。
参考:危険物の規制に関する規則
なおガソリンは、第四類危険物で、危険物等級はⅡです。
消防法には具体的な容器の規定はなく、
「ガソリンは安全に取り扱うこと。詳しくは政令等で規定」
という形になっています。
その規定というのが、さっき紹介した規則です。
ペットボトル等へのセルフ給油はNG?
「ペットボトルに給油して持ち帰っていいのかな?」
と思うこともあると思います。
法令では、
という規定があります。
「容器への詰替え作業を監視し」とわざわざ書いてあるということは、「容器への給油は可能」と読めます。
しかし多くのセルフスタンドでは、携行缶へのガソリン等のセルフ給油を禁止しています。
これは法令によるものではなく、スタンド側の都合であると考えられます。
という規定がありますので、携行缶に給油させて何かが起きてしまったとき、
「安全上支障のないことを確認したのか?」
と問われることになります。
セルフのスタンドでは基本的に、スタッフは給油客を遠目で見ていますよね。
携行缶が本当に安全なものかどうか確認しなければならないとしたら、近くに行って、手にとってみなければわかりません。
そこまでスタンドに求めるとしたら、携行缶の客が来るたびにスタッフはスタッフルームを離れなくてはならず、ほかの客に給油させるための許可ボタンを押せなくなってしまいます。
携行缶の客が来るたびに、多くのほかの客を待たせなければならなくなり、待つのが嫌な客はそのスタンドに行かなくなるでしょう。
そうなってしまうことを防ぐために、スタンド側はあらかじめ
“携行缶への給油禁止”
としていると考えられます。
スタンド側の都合ですが、多くの給油客にとってメリットのある規定ですので、商売として正当です。
まとめ
ガソリンをペットボトルにいれて保管すること、祖母の経験則では「大丈夫」です。
しかしそれは赤信号を無視し続けるようなことで、明日は何かが起こるかもしれません。
ペットボトルはガソリンを保管することを想定されていません。
ガソリンは気化しやすく、ペットボトルの内圧は上がりやすく、破裂しやすいです。
そしてペットボトルは基本的に電気を通さず、保管しているガソリンは電気を帯びていきます。
ペットボトルから出すときにパチッとなりやすく、そうなったときはアウトです。
法令としては10リットルまでならプラスチック容器に保管してもいいとなっていますが、上記の性質を考えれば、ペットボトルでの保管は怖いです。
ここまで読んだあなたは、祖母の経験則を信じてガソリンをペットボトルに入れるようなまねはしないと思いますが、一応言わせてください。
危ないから、金属の専用容器に入れましょう。