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2つの首輪と4本の鎖

あるところに、犬が一匹おりました。犬には家庭がありました。家族がいました。

「よし、がんばるぞ!」

今日も犬は家族のため、がんばって会社で働き、お金を稼いでいました。

 

犬には、2つの首輪がついていました。

働く犬1

ひとつは[家庭]、もうひとつは[会社]。[家庭]の首輪には[夫]という鎖がついていました。[会社]の首輪には[社員]という鎖がついていました。

犬は毎日がんばっていました。

 

しかし、[夫]の鎖は[社員]の鎖の動きをさまたげ、[社員]の鎖は[夫]の鎖の動きをさまたげ、家庭からも会社からも評価はイマイチでした。働く犬2

「さて、がんばるか!」

それでも犬は自分のできる範囲で、一生懸命にがんばっていました。

 

あるとき、犬に子供ができました。

働く犬3

[父]の鎖も増えました。

 

またあるとき、犬は昇進しました。

働く犬4

仕事で大きな成果を上げたわけでなく、ただの年功序列です。[社員]より太くより重い[役職もち]の鎖も増えました。

「もっとがんばらないとな!」

 

2つの首輪と4本の鎖は、とても重く、犬の動きをさまたげます。

働く犬5

[家庭]・[会社]、それぞれから期待されるほど動けない犬は、責任を感じました。

「がんばるしかない!」

なさけない気持ちになりながらもがんばりつづけました。

 

そして、犬は定年を迎えます。

働く犬6

「さあ、今日から自由だ! 大好きだったフリスビーキャッチが毎日できるぞ!」

と勢い込んでみたものの、思ったように体が動きません。

 

フリスビーキャッチをあきらめた犬。

働く犬7

ひまをもてあまし、家でゴロゴロ。ついには妻にもうっとうしがられる始末。

 

近くの公園のベンチに座り、つぶやきます。

働く犬8

「ああ、こんなはずじゃなかったのに。」

おしまい。